矯正歯科の基礎知識
支払い方法には、総額制(トータルフィー方式)と、通院ごとに調整料を支払う方式があります。この違いにより、見かけの料金と実際に支払う料金が違ってくる場合がありますので、理解したうえで検討されるとよいでしょう。
トータルフィー方式とは「総額制」のことで、矯正治療にかかるすべての費用の総額を提示する方法です。例えば、トータルフィー方式の歯科医院で「治療費が80万円」とあれば、すべての治療が80万円でできるということです。
途中で装置が追加になったり、予定より治療期間が長くなったりしても、治療費が変わることは基本的にはありません。(予定より早く治療が終わった場合も、治療費は変わりません。)
これに対して、トータルフィー方式でない歯科医院の場合、例えば「装置代が60万円、毎回の調整料が5,000円」などとなっています。このケースで月1回の通院を2年半おこなったとすると、計30回×5,000円=15万円の調整料がかかることになり、治療費の総額は「装置代と合わせて75万円」ということになります。
さらに保定装置代や保定の調整料が別にかかる場合もありますし、治療期間が予定より長くなると、総額が増えることになります。
なお、トータルフィー方式であっても初診相談料や検査料は含まない場合が多いようです。というのは、初診相談や検査は、治療をするかどうかまだ決める前の段階でおこなうものであるためです。精密検査の結果を元に治療方針の説明があり、それに同意した場合に治療が開始となりますので、それ以降が治療費となります。
治療を検討している歯科医院がトータルフィー方式かどうか、どうしたらわかるでしょうか。
ホームページなどに料金を明記している歯科医院であれば、そこに書いてある場合が多いですが、わからない場合ははっきり聞いてみましょう。「通院のたびに調整料や管理料はかかりますか?かかる場合はいくらですか?」と聞くとよいでしょう。
見かけの費用は安いけれど、調整料を含めると割高になる場合もありますので、後になって「予定していたより高額だった」ということになりかねません。きちんと理解したうえで選択することをお薦めします。
トータルフィーの歯科医院と、それ以外の歯科医院はどちらが多いかを調べてみました。
○全国371医院のうち
トータルフィー方式は、治療開始時に総額がはっきり分かり、費用の準備がしやすいことや、治療期間が延びたりした場合でも費用が変わらない点など、患者さんのメリットが多い方式のため、増加する傾向にはあるようです。
ただし、トータルフィー方式でなくても、料金をきちんと明示して総額の目安が分かれば問題はありませんので、歯科医院によく聞いてみるとよいでしょう。