インプラントの基礎知識

メリットとデメリット

歯科治療を受けるときに注意したいのは、どの治療にも必ずメリットとデメリットがあるということです。インプラントはメリットの多い歯科治療ですが、デメリットについても知っておきましょう。

インプラントのメリット

しっかり噛める(機能性の回復)

インプラント

インプラント治療と従来の治療(入れ歯・ブリッジ)の一番の違いは、インプラントを直接顎の骨に埋め込んで結合させ「根(人工歯根)」をつくるということです。
顎の骨と人工歯根がしっかりと結合することでぐらついたり外れたりすることなく、天然の歯に近い感覚で噛むことができます。また、人工歯根を通して噛む感触が顎に伝わりますので、噛み心地も天然の歯に近く感じられます。

見た目がよい(審美性の回復)

破線円の位置にインプラントが埋まっています
破線円の位置にインプラントが埋まっています

インプラントは、入れ歯のように周りの歯を「支え」にする必要がありません。
入れ歯のように固定金具を取り付けることがありませんので、埋入したインプラントに白い上部構造(人工歯)を取りつけてしまえば、インプラントを入れていることがわかりません。
口を開いたときに入れ歯の金具が見えるのが嫌で、歯がないままで過ごしていらっしゃる方は、インプラント治療を検討されてみてはいかがでしょうか。

食べ物の制限が少ない

入れ歯では硬いものや粘りのあるものだと外れやすかったり、食べかすが挟まって痛みを感じたり、食材の大きさが厚すぎても薄すぎても食べにくいなどの不便がおこります。
一方、インプラントは、天然の歯で食べていたものならほとんど食べることができ、入れ歯に比べて食事のストレスが大幅に軽減されるといわれています。長らく入れ歯を使用していた方がインプラント治療後に「食事がおいしくなった」と感じるケースも多いようです。

インプラントのデメリット

手術が必要

インプラント治療では、インプラントを顎の骨に埋めるため、麻酔を使った外科手術が必要になります。入院の必要はありませんが親知らずを抜歯する程度の手術であるといわれ、痛みに弱い方や麻酔が怖い方、治療をおこなう歯の本数が多い方などは負担が大きくなります。
また心臓病、糖尿病、妊婦の方、歯ぐきや顎の骨が極端に痩せてしまっている人などは場合によっては治療が制限されることがあります。

保険が適用されない

特殊な例を除いては、インプラントは健康保険が適用されず全額自己負担での治療となります。またかかる費用も一概にいくらとは決まっておらず、医院やインプラントの種類、使用するメーカーによって13万から50万以上とかなりの差があるようです。

最近では治療費の安さをうたう医院もありますが、インプラントは体に金属を埋め込む外科手術を必要とする治療ですから、安さだけに魅力を感じて決断してしまうのは大変危険です。医院でのカウンセリングなどを利用し、安全性や治療後のケアなどについてもしっかりと検討するようにしましょう。

治療後も通院が必要

インプラントの歯(人工歯)自体が虫歯になることはありませんが、歯周病に似たインプラント周囲炎という感染症にかかることがあります。インプラント周囲炎は歯周病よりも進行が早いといわれていますので、天然の歯より口の中の手入れが重要となってきます。
メンテナンスのためには、年に1~4回医院にいく必要があり、この場合も保険は適用されません。しかしメンテナンスを怠ると、せっかくお金をかけて入れたインプラントがダメになって脱落してしまうこともあります。
治療後も歯科医師の指示に従い、こまめにメンテナンスをしていきましょう。