Tさんの熊谷歯科医院3回目の診察です。
前回の診断で、「左上5番の奥歯は抜髄しないといけないかもしれない」と言われ、いっそ抜歯して矯正治療を始めようか悩んでいたTさん。
しかし年末の忙しい時期でもあり、すぐには矯正治療を開始できそうもないため、虫歯が進行しないよう、まずいったん治療をすることにしました。
熊谷歯科医院は綺麗にクリスマスの飾りつけがされ、とても心和む雰囲気で迎えてくれます。しかし、歯を削ることが苦手なTさんは、緊張した面持ちで診察台に座りました。
Tさん:「よろしくお願いします」
熊谷先生(以下Dr):「今日は左上5番の治療ですね。削ってみて神経が保存できるようなら保存します。まずは麻酔をしますね」
治療を行う部分の歯茎にキシロカインという麻酔薬を注射します。
(表側から麻酔) (次に裏側から)
まず表から打ち、少し待ってからもう1回裏側から打ちます。このように2段階で打ち、また麻酔が効いてくるまで十分待つことで、痛みのない治療(無痛治療)ができるそうです。
(編集部注:一人の患者さんの治療時間が短い医院では、麻酔が効くまで十分待つことができず、それで痛みが出てしまう場合があるそうです)
Dr:「気分は悪くないですか?」
Tさん:「大丈夫です」
麻酔が効いたのを確認して、虫歯の部分を削ってゆきます。
Dr:「しみませんか?」「しみたら言ってくださいね」と何度も確認してくださいます。
時間をかけて丁寧に削ります。5番の歯と、隣の6番の歯も同様に削ってゆきます。
削り終わって写真を撮った後、CR(コンポジットレジン:白い樹脂素材)を詰めてゆきます。
まず接着剤を塗った後に、注射器のようなものでペースト状のCRを充填します。
軟らかいCRは青い光を当てると固まりますので、これを何度も繰り返して詰めてゆきます。
(注射器状の器具でCRを注入します) (青い光を当てると固まります)
充填が終わると形の修復を行います。
円盤状や棒状の研磨機を使い、時間をかけて丁寧に形を整えます。途中、咬合紙を噛んで、色がついた部分を確認しながら整えます。
歯と歯の間には帯状のやすり(ストリップス)を使用します。歯のすき間は研磨機が届きませんが、この薄いやすりを使って、細かい部分まで綺麗に仕上げることができます。
Dr:「神経は残して治療をしました。ただ5番の方は結構深いので、しみてきたら神経の治療が必要になるかもしれません。しばらく様子を見てください。この歯は矯正治療の際に抜歯をするかもしれないということでしたので、CRを詰めています」
Tさん:「ありがとうございました。とても綺麗にできていますね」
Dr:「噛んだ感じはどうですか」
Tさん:「はい、全然違和感もないです」
Dr:「次回は前歯の部分を治療しましょう」
Tさん:「はい、ありがとうございました」
●● 取材を終えて ●● |
治療を終えて、感激の面持ちのTさんが感想を話してくれました。 「治療を始めるまでは、歯を削るのは痛いイメージがあって怖かったのですが、全く痛くありませんでした。削る時だけでなく、麻酔の注射も全く痛くなかったんです」 この「全く痛くない」治療には、次の4つの工夫があるそうです。 (1)麻酔薬をひと肌に温めておいて刺激を少なくする。(打つ前にお湯で温めるそうです) 「しかも、これだけ時間をかけて丁寧に治療して頂いて、保険内で対応して頂きました。高額の保険外治療費も覚悟していたので、正直うれしいです。矯正治療をする際に抜歯となる可能性もある歯なので、先生が保険内のCRで治療してくださったのだと思いますが、1時間近い治療でこの治療費は、本当に有り難いです。でも、医院としては合わないんじゃないでしょうかね」 熊谷歯科では、保険治療、自費治療のどちらも対応していますが、保険治療でもこのように丁寧に診療して頂けるのは、本当に素晴らしいと思いました。 |
投稿者 kanba : 2012年12月12日 12:03